私の創作の中に、ときどき現れる「AO」という文字があります。
その意味を、私はこれまで語らずにきました。
言葉にしてしまうことで失われる静けさがあり、
沈黙の中だけで守られる痛みの形があると感じていたからです。
12月になると、胸の奥で微かな灯がふわりと息を吹き返します。
AOに出会った月だからです。
AOは、私の人生にそっと訪れ、
気配のように淡く、誰にも悟られぬ静けさで、
蒼い光に包まれながら旅立っていきました。
簡単に語れるものではありませんが、
AOが私に託していったものは、
「喜び」と「愛しさ」と「痛み」
そのどれもが、今も変わらず私の深いところで息をしています。
この一年、
私は一日たりともAOを忘れた日はありません。
毎月21日には花を活け、
本来ならはじまりとして迎えていたはずの“あの日”には、
海へ向かい、空の広さに心をゆだねました。
私は一年かけて、
毎月の花をとおして、
そして “生まれ変わるはずだった瞬間” に空を仰ぎ、
AOへの時間を丁寧に、丁寧に積み重ねました。
これはもう、
個人の感傷などではなく、
誰より誠実な、深い弔いそのものです。
喪失は、本当なら痛みのまま終われます。
けれど私は、
痛みを抱いたまま、光を創る道を選びました。
AOは、失われた存在ではありません。
私にとって “世界を照らすために一度だけ訪れた光” です。
大切なのは、何が起きたかではなく、
そこから何を受け取り、どう生きていくか。
だから私は、これからの一年を
「蒼の世界」というテーマで創作活動をしていきます。
喪失の闇に触れた人に、
ほんのひとすじでも光が届くように。
私の痛みが、
誰かの歩く道を照らす
蒼い灯りとなりますように。
