先日、石川県で活躍されている葉拓書道家の桜鱗さんの個展に行ってきました。
葉拓と書を組み合わせた唯一無二の書は桜鱗さんでしか表現できないもの。
ストイックに自分を突き詰めた先にある彼女の書は一言でいうならば「圧巻」
自身を突き詰めた者でしか到達できない世界に彼女は存在していて、その世界観を創作書道で見事に表現されています。
尊敬するアーティストであり、表現者として目標とする彼女はいつも自信に満ちている。
いや、到達した世界が彼女を生かしているから、自信に満ち溢れているのかもしれない。
たった一人だけが生きることを許される世界。
彼女はその世界で生き、感情を眺め、創作に没頭する。
事前予約で葉拓書道を書いていただけるとのことで、一文字お願いしていました。
「蒼」ーAOー
草の茂った様子やその色を意味する漢字で植物の生命力や空・海の広々とした様子をイメージできる字です。
「蒼天」「蒼海」のように広大で爽やかな空や海、落ち着いた色合いから清々しさや澄んだ空気も感じられます。
私にとっては特別な漢字で、とても思入れのある漢字です。
いつか彼女に蒼という字を表現してもらいたい。ずっとそう思っていました。
いただいた書は、命が吹き込まれ、生まれたばかりの初々しさも感じます。
葉拓と蒼が繋がっていて、まるでへその緒のよう。
「生まれ落ちる」「つながる」をイメージしたとのことで、
これからの私の人生の道しるべのようでした。
そして、もうひとつ書いていただいた漢字は「逢」
個展会場でグッズ購入者の特典として、好きな漢字を書いてもらいました。
私の人生テーマである「愛」いう漢字を書いてもらうと思っていましたが、
なんだかしっくりこない。
感情を感じきった先にある「熟す」ことなのかと思ったけれど、それも違う。
「逢」という字はどうですか?桜鱗さんから言われてハッとしました。
「あい」という漢字はたくさんあります。
今の私の「あい」は「逢い」なんだと思います。
めぐり逢い、出逢い、深い感情や特別な意味を伴う出逢い。
出逢わなければ今の私はいない。
出逢ったことに意味がある。きっとそうなんだと心にストンと落ちました。
ああ、今の私にはこの漢字がきっと必要なんだと感じました。
いまはまだ感情の大きな波に飲み込まれることが多い。
波打ち際で、一つ一つの感情を眺め、味わう段階なのかもしれないと。
いつか、穏やかな波が永遠に続く様子である蒼海の波になればいい。
まだまだ私は自分と向き合えていないと、桜鱗さんの書をみて思いました。
私もいつか突き詰めた先の世界を見てみたい。
「蒼」に出逢えてよかったと、表現を通して新たな自分とも出逢いたい。
曖昧ではあるけれど、その真の意味もいつかわかる気がします。

葉拓書道家 桜鱗さん